質問はどのようにすればよいのですか?
民法に関する質問がある場合には,会員に限り「お問い合わせ」の欄を使って質問をすることができます。
会員登録は,「ログイン」の下に表示される「新規会員登録」のフォームに必要項目を記入し,送信ボタンを押すことによって行うことができます。すでに会員となっている方は,「ログイン」のフォームからログインすることができます。
質問を「お問い合わせ」欄から送った場合には,担当者が一日中に,返事を差し上げます。回答は,400字以内で回答されます。質疑は,2回以上の往復が可能ですが,それ以上の往復はありません。テーマを変えた場合でも,関連するテーマについては,さらに2回だけの往復が認められ,それ以上の継続はありません。
質問と回答のやり取りの結果は,体系的な観点から整理して,「よくある質問」の欄に掲載します。つまり,「お問い合わせ」の欄で質問したことは,その会員自身に回答がメールで帰ってくることによって利益となるとともに,その質疑応答が,「よくある質問」欄に掲載されることによって,すべての人にとって利益となります。
会員登録をして,会員となるメリットは何ですか
日本民法典研究支援センターの会員であっても,会員でなくても,固定ページ(トップページ,提供サービス,よくある質問のページ)は誰でも読むことができます。
しかし,「お問い合わせ」を通じて,「質疑応答」はすることは,会員以外はできませんし,「投稿ページ」の最新の情報も,会員以外は読むことができません。もっとも,最新の「投稿ページ」も,一定期間後には,カテゴリーを考慮して適切な固定ページに移されて,誰でも読むことができるようになりますが,その時間差が会員と非会員の差となっています。
たとえば,新聞等で大きく報道された平成28年3月1日の最高裁判決(認知症の夫が,妻が目を離したわずかの時間に外出し,JRの線路内に立ち入って列車と衝突して死亡し,JRに損害を与えたため,JRが被害者の妻,子に対して損害賠償請求をし,地裁,高裁が妻に対する損害賠償責任を認めたため,認知症の高齢者を抱える家族から批判の声が上がった事件の最高裁判決)については,判決が下された当日に,最高裁のホームページに判決要旨と判決全文が掲載されたため,他の判例データベースに先駆けて,判決要旨と判決全文を《最新判例紹介》として,投稿欄に掲載しました。
その翌日には,関連判例(サッカーボール事件)を判例評釈つきで紹介し,また,その翌日には,平成28年3月1日の判例について,簡単な判例評釈を投稿欄に掲載しました。これほど,迅速な判例紹介,判例評釈は,他のメディアでは,不可能であり,Webページの会員サイトだからこそ可能であると思います。
このように,民法に関する迅速な情報は,会員だけに無料で提供され,一定期間が経過した情報は,すべての人々に無料で公開するというのがこのWebサイトの特色となっています。
したがって,民法の条文,文献,判例について迅速な情報を得たいと考えている方,または,民法に関して,質疑応答を希望する方は,会員登録をしていただくと,相応のメリットを得ることができると思います。
なお,このWebサイトの最終目標である,『日本民法典』が完成し,毎年,改訂版を出版するまでの間は,会員登録は無料とします。3年後を目指していますが,その目標が完成した後は,[日本民法典』の「データベース」を直接利用できるWeb会員サイト(有料)を別途立ち上げる予定です。
法を学ぶメリットは何ですか?
法を学ぶメリット
法を学ぶメリットは,法を学んでいない人にとっては解決ができないと思われるような困難な問題に遭遇しても,その紛争を平和的に解決する能力を身につけることができるようになることです。
この能力を身につけるためには,以下に述べるような,強い目的意識と二つの学習方法を同時にかつ忍耐強く継続する必要があるため,普通の人は,途中で挫折します(法学部に入学した学生のうち,卒業できる学生は多いのですが,そのうち,法を使いこなせると言う意味で,法をマスターして卒業する学生は,1割にも達しないのが現状です)。
したがって,そのような試練に耐えて法をマスターできた人は,紛争解決のエキスパートとして尊敬され,あらゆる分野で,社会的貢献ができるようになります。
法をマスターするために必要な自覚
このような平和的な紛争解決能力を獲得するためには,第1に,法の目的を理解すること,第2に,二つの逆向きのプロセスを同時に学習する必要があります。
法の目的に関しては,法が,お金儲けや,権威を得るためにあるのではなく,人類の正義(紛争の平和的な解決)を実現するためにあることを自覚することが必要です(もちろん,法をマスターすることによって,付随的にお金儲けができたり,権威を得たりすることがあっても,それは,本来の目的とは別物です)。
人が社会的動物である以上,いつでも,どこでも,必ず紛争が生じます。その紛争を平和的に解決することができる手段としては,法的ルールしかないという自覚です。「法はなくてもよい」とか,「法を学習しなくても済む」と思っている人にとって,法の学習は向いていません。なぜなら,法をマスターするためには,以下に述べる同時・並行的に進行するという,とてつもなく困難な学習を最低3年間,通常は,10年にわたって継続する必要があります。したがって,法の崇高な目的を自覚していない人は,ほぼ全員が,途中で脱落します。
法をマスターするために必要な二つの逆向きの学習方法
法の学習に関しては,条文から,その条文が適用される典型的な事実を描く能力を身につけること(トップダウン式学習法),それとは逆方向に,具体的な事実から,その事実に適用できる条文を直ちに発見できる能力を身につけること(ボトムアップ式学習法)という二つの目標を掲げて,それをマスターすることを目標にしなければなりません。
トップダウン式の学習法は,六法と注釈書とがあれば,普通の人でも,忍耐を惜しまなければ,比較的簡単にマスターすることができます。簡単な資格試験なら,この学習方法だけで何とかごまかすことができます。
しかし,ボトムアップ式の学習方法は,その目標を強く意識した上で,長く続く困難な学習に耐え抜く忍耐力を必要とします。トップダウン式の学習法を継続しつつ,常に,逆向きのボトムアップ式の学習法を行ってこそ,法を困難は紛争を平和的に解決することのできる能力を身につけた法のエキスパートになることができます。
法を学習することを希望する人々が,法の目的に対する自覚の下で,トップダウン式学習法,ボトムアップ式学習法に挑戦されることを心から願っています。
民法総則から民法の学習を始めましたが,難しくて,挫折しそうです。どうすればよいですか?
現行民法は,ドイツ民法が採用しているパンデクテン方式をわが国の民法が採用したため,民法の最初の編が,総則となっています。
パンデクテン方式とは,個別的でわかりやすい本筋の規定(比ゆ的にいうと,コンピュータプログラムのメインルーティン)に先だって,一般的・抽象的で,したがって初心者には理解が困難な規定(コンピュータプログラムにおける「サブルーティン」)を,「総則」としてまとめることにより、法典を体系的に編纂することに主眼をおいた記述形式のことをいいます。
これに対立する方式は,旧民法やフランス民法典の編別に採用されているインスティトゥティオネス方式であり,伝統的な記述方法ではあるが,体系性という観点からは,パンデクテン方式の方が優れています。
もっとも,パンデクテン方式の総則は,メインルーティンで何度も使われる概念や法理をサブルーティンとしてまとめたものであり,メインルーティンで使われて初めて実用的な意味を持つものですから,そのもの自体を理解することは,初心者にとっては困難です。
したがって,初心者は,民法総則については,民法全体の構成のうち,メインルーティンとなる債権や物権を理解する際に,繰り返し引用される重要な概念(私権の主体としての人,客体としての物,権利関係を変動させる法律行為,時効など),または,法理(代表例は,信義則に裏付けられた権利外観法理)であると理解するにとどめのががよいと思います。
そして,メインルーティンである債権や物権の学習に移り,債権や物権の学習しながら,その途中で総則が引用されるたびに,総則のその箇所を振り返り,債権や物権と関係させながら詳しく学習し直すという方法をとるのがよいでしょう。
そのような学習方法は,現実の利用実態にも適合しており,学習方法として,最適であると,私は考えています。